カンカンのなかみ

可愛い缶に大事なものを詰め込んだ

春服を買いに行くついでに読んでほしい本

寒さが厳しいですねぇ。

 

2018年、初読了となりました。

尾形真理子『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』

 

試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)

試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)

 

 

渋谷区にあるセレクトショップを舞台にした物語。

恋愛に悩んだとき、ふと訪れると、今の自分にふさわしい洋服が見つかる。

新しく変わりたい、ほんのちょっとだけ踏み出したい、そんな女子たちに小さなエールを届けてくれるような本です。

 

エピローグ、プロローグを合わせると全7章あります。

5人の女性をそれぞれ主人公にしていく短編ものです。

作者の方は有名なコピーライターという経歴の持ち主で、章タイトルが絶妙!!

ラブラブハッピー!というような展開の恋愛ものではないですが、恋愛中のふとした葛藤の一コマをすくいとって展開されていくような話で、可愛らしい感じです。

 

30代の主人公が多いので、現実を考えたらそんなふわふわした恋してる場合じゃないでしょ!というツッコミも入れたくなるかもしれませんが、みんな決して夢見てるわけじゃないのです。

 

どの話も好きですが、個人的に今、人と向き合うことがテーマなので「あなたといたい、とひとりで平気、をいったりきたり。」の中のフレーズが印象に残りました。

「新しい色を何度でも重ねていく手間と気持ちを、わたしは面倒くさがっていた。なんでわたしがネイリストの仕事をしているのか。なんで鍋だけじゃなく、表参道のレストランで食事をしたいと思うのか。自分の気持ちを伝えることもせず、良太郎にはわからないと決めつけていた。 

 言わなきゃ分かんないよって、やっぱり本当で、でもすぐに黙ってしまうところが私にはあるので、この部分は響きました。

 

春に向けて心機一転の方も多い頃かと思います。

ショッピングのおともに、バックにしのばせていくのもいいのでは?

似合う服が見つかりそうな気がします。