カンカンのなかみ

可愛い缶に大事なものを詰め込んだ

カフェでのんびり読みたい本

もう本の装丁が好み。

こんな表紙、手に取らずにはいられない。

近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』

 

ときどき旅に出るカフェ

ときどき旅に出るカフェ

 

 

 連作短編小説で、全部で10話あります。

主人公は37歳の独身OL。

元同僚が営む「カフェ・ルーズ」を舞台に、日頃の人間関係のちょっとしたいざこざを優しくほどいていきます。

カフェのコンセプトは「旅に出られるカフェ」。世界の様々な料理(主にスイーツ)が登場します。それがまたとっても魅力的!

 

特に印象に残った文章を少し…

 

 

亜沙実と同じ仕事をしているが、家に帰れば自分の時間は、すべて自分のために使うことができる。出不精で旅行にはあまり行っていないが、自分が行きたいと望めばいつだって行ける。

  でも、それは優雅なのだろうか。瑛子はよく、自分の選ばなかったもの、選べなかったもののことを考える。結婚や子供、親の代の人間が考える、普通の人生のことを。

 選ばなければ時間の余裕はできる。やりたいこともできる。

 だが、どこかでそれを選ばなかったことはずっと自分につきまとうのだ。

 

  

なんだか自分の現状を文章にされているようで刺さりました。

何がいいとか悪いとかではなく、漠然とした不安や自信のなさ。

でもたぶんこれって歳や立場に関係なく感じられるもの。

だからこそ、思いもかけない一口との出会いに励まされるのではないかと思いました。料理から勇気や新たな視点をもらえる。そんなこともあるんだなという内容になっています。

 

出てくるスイーツが美味しそうなので、カフェでケーキを待ちながら読むのがオススメです!

優しい雰囲気の本なので、日当たりのよいこじんまりとしたお店が似合いそうです。