人が人を思い合う優しさに触れられる本
食べ物が出てくる本が好きです。
今回は、洋菓子が登場します。
原田マハ『スイート・ホーム』
神戸市を舞台に、小さな洋菓子店を中心にした家族のお話。
連作短編集です。
人と人が繋がりあっているのがこんなところからも感じられる。
書き出しの文章が、少し夢見がちに感じたとしても、どうか読み進めてほしい。
空想女子の日記ではないから。
自分が女であるということや、家族仲はよい方ということも相まってか、全部の章で涙が滲みました。
さすが原田マハさんとしか言いようのない温かさで溢れています。
いちおしは「あしたのレシピ」。
料理教室の先生をしている未来先生が主人公となるこの章。
三十代半ば、独身、歳下くんに恋してしまうという流れからして感情移入しやすかったんですが…。
切ないんだけど、かっこいい。
全ての章で、料理だったり、会話だったり、仕草だったりを通して、人が人を思い合う様子が伝わってきます。
私もこんな風に、誰かに幸せを願われているのかもしれない。という感想を持ったくらいです。
既にお気に入りのケーキ屋さんがある方、心の中にもう1軒お気に入り店を増やしてみませんか?
温かい家庭って、理想の家族像って何?って迷う方、読んでみませんか?
自分の仕事に誇りを持ちたい、そんな方にもいいかもしれません。
コーヒーや紅茶を片手に、お楽しみください。